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2020年4月29日 (水)

もしも原子が見えたなら06 1995年は授業書で

1995年は「もしも原子が見えたならの授業から道徳とリンクさせた実践をしていた。また、総合的な学習の時間も巻き込もうと単元化を考えていたのだが、道徳はできたが、総合的な学習は現代のような学校行事のようなものになってしまった。生徒のためになる単元作りと考えていたんだけどなあ。25年前、谷山北中時代のことだ。以下、その時のレポートである。

***************************

 「もしも原子が見えたなら」から命、環境へ
-「総合的な学習の時間」に使える授業作り-

☆今年は、中学2年生の理科担当
今年度は2年生の理科担当。昨年からの持ち上がり。この生徒達には1年の時に1分野のスタートは「もしも原子が見えたなら」で始めて粒子概念を教えておいたので、2年の初め「動物の世界-生命を支えるためのしくみ」においても、ブドウ糖やアミノ酸、脂肪、他の分子模型を使用して、炭素を含む有機物、含まないのは無機物と、模型を通じて教えることができた。また、「化学変化のしくみ」でも生徒達が考える助けになるように分子模型を使い、酸化、還元、化学反応式を教えていった。「酸素分子は誰とでも仲良くしたがる社交性のある分子。だから、すぐに他の原子とくっつきたがる。それを酸化。でも、炭素や水素が表れたら、そっちの方が大好きなので、くつついている鉄や銅の原子と分かれて、水や二酸化炭素になってしまう。これを還元」というように、模型を使いながら教えていく。

 夏休みには、理科室にて理科工作講座を開き、「30億分の1 太陽系模型」を中心に、「1億倍 空気の分子模型」、「希望するいろいろな分子模型」を生徒達が作った。
 感想の一部を紹介する。
 ・エタノールの分子模型は、先生が言うには、犬らしいと初めて知った。アジ化ナトリウムは複雑かと思ったが、以外と簡単でがっかりした。尿素は線対称だった。つかれた。おもしろかった。楽しかった。
・ いろいろな分子模型が作れて、とても楽しかったです。炭酸水素ナトリウムなんかは、習ったばかりのもので、どうゆうつくりになっているかがよくわかりました。よかったです。

 難しいと思われがちな原子の世界も「作る」ということで楽しくなる。

☆「総合的な学習の時間」にいかせる粒子概念
 私は、理科の授業だけではなく、粒子概念を役立たせている。道徳の時間である。生命の大切さを教える授業。環境について考える授業などに役立たせている。
 生命の大切さについては、現時点で4時間の単元として組んでいる。また、環境も現在5時間の単元として組んでおり、道徳の時間に実施している。主にマル道(子どものためになり、子どもが本気になる道徳授業を創出し、他者が真似できる形で広めていくことを目的としている全国ネット)編集、明治図書発行の道徳授業改革双書や「道徳授業フォーラム」などの授業を参考に道徳の授業を進めているが、自分なりに単元を組み立てる際、仮説実験授業の授業書を取り入れ、原子分子の考えで教えている。この2つの単元は「総合的な学習の時間」に生かそうと取り組んでいる。

☆道徳授業「死んだらどうなるか」
*生徒の評価

以下、授業記録の一部である。
ねらい

Dsc00105



 ・思春期には「死ぬ」「死にたい」ということをよく考えたりするが、本当に死んだらどうなるのか、社会的には「みんなが悲しむ」など理解できるが、では、真実はどうなのか、科学的に考える。
 ・今、生きていることを大切にする気持ちをもたせる。
 ・「宗教の世界の死」と「科学の世界の死」が違うということを知る。

◆指示1 資料1「おさえきれない気持ち」を読んでください。
*ワークや発表からこのクラスにも14人も同じ気持ちになった生徒がいることがわかった。

◇発問1 あなたならば、この人にどんな言葉をかけてあげますか。悩んでいる自分の友人と思って書いてみてください。
・そんなに悩むことはないよ。少しずつ少しずつ生きている楽しさを分かればいい。あなたが生まれてきて、迷惑な人はいない。あなたが楽しい時を過ごせば私も楽しいよ。
・みんな、一回は、死にたいと考えたことがあると思うよ。それをみんなのりこえて今までがんばってるの。死にたいと思ったら、お父さんやお母さんが悲しむ。それに私たち友達だって悲しい。今、生きているからこそ、こんな悩んだり、うれしかったりするんだよ。死んでしまったら何も なくなってしまうよ。
               (省略)
◇発問3 では、人が死んだらどうなるのでしょうか。自分が思っていることを遠慮なく書いてみてください。なんでもいいですよ。
「私は死んだら~~というふうになると考えている。」

・自殺をした人は、大切な命を自分で捨てたのだから、地獄に行くと思う。寿命がきて死んだ人は 精一杯生きてきたので天国に行く。---*この考えが一番多かった。
 他に
 ・何もなくなる。自分というものがなくなる。
 ・土に帰って、草花などの手助けをして、みんなに役立っている。
 ・お骨になる。
 ・何かに生まれ変わる。

◆「死んだらどうなるか」を紙芝居で見る。
┌──────────────────────────────────────────┐
│ 人間が死ぬと、焼き場というところで、燃やしてしまうのが普通です。焼き場では、それま│
│でその人の体をつくっていた器官も燃えてしまいます。<遺骨>と言って、骨を作っていた原│
│子の一部と気体にならない原子だけは灰となって残りますが、その他の原子はみな、空気中の│
│酸素原子と結びついて、気体となって煙突から出ていってしまいます。 │
└──────────────────────────────────────────┘
┌──────────────────────────────────────────┐
│この世には、二種類の真実があります。その一つは「科学の世界」で、もう一つは「心の世界│
│」です。(略)科学の世界では死んだら何も残らなくても、宗教の世界では、多くの人々の霊│
│は生き続けると言っても良いのです。(略)宗教の世界では何と言おうと、科学の世界では「│
│人間が死んだらただの原子になってしまう」というのが正しいことになるのです。 │
└──────────────────────────────────────────┘
このような内容を紙芝居を使って教えた。

感想
・「死ぬ」ということは、どういうことかについて学んだ。私も死んだら気体になるけれど、私のことを知人の心の中で生かしておいて欲しいです。 
・紙芝居がおもしろかった。やっぱ死にたいと思う人は、よく考えた方がいい。
・魂になったり、天国、地獄にいったりすることはないが、空気や水になって常に自分の周りにいることが分かった。
・人間は死んだら何も残らないんだと言うことを聞いて、ちょっとさびしい。しかし、死んだ人の分子が水や植物の手助けをしているのはすごいと思う。死んでも、その人は心の中にやきついていると思うから、それでいいと思います。
・すごくためになった。1回の人生を大事に生きようと思う。そして、習ったことをずっと頭の中に残していたい。

*生命単元 4時間分
 1時限 「死んだらどうなるか」
 2時限 「夢をかなえるまでは絶対に・・・」
 3時限 「闇の動物立ち」
 4時限 「命の授業」

☆道徳授業「ゴミの中のプラスチック」
*生徒の評価            以下、授業記録の一部である。
ねらい
 ・身の回りのプラスチックについて知る。
 ・プラスチックゴミからダイオキシンが出ることを知る。
 ・ゴミの分別の意識を作る。

◆ゴミの中のプラスチック

Daiokisin



◆プラスチックとは
◆プラスチックの性質
◆プラスチックの種類と分子模型
◆やってみよう実験
◆ポリエチレンを燃やすと
◆プラスチックのゴミを燃やすと
◆ゴミを燃やすときにできる有毒な分子
◆プラスチックのリサイクル

 プラスチックは細長い分子模型を見せることで・プラスチックの弾力性・炭素を含むので燃えるとすすが出る・塩素を含むプラスチックとベンゼン環を含むプラスチックを一緒にするとダイオキシンができる・・・など教えやすかった。もう少し時間があれば、ダイオキシンの毒性について教えたかった。

感想
・「分別」の意味が分からなかった。でも、今日学習していろいろ分かった。たくさんの人たちが自然に害がないようにと考えている。このことはすごいと思う。でも、一番いいことは、一人一人ゴミを出さないよう心がけることなんだ。
・普段、何も考えなくてただ捨てているだけのプラスチック用品。これからは再利用したり、ゴミを少なくしていこうと思う。
・プラスチックを混ぜて燃やしたら、ダイオキシンとかでて、とても環境に悪いと思った。今度から、僕もできるだけ協力しよ。
・実際に前で、実験してビニルの燃え方が分かった。いろいろなプラスチックの種類も分かった。とてもためになった。
・今までゴミの分別のこと、あんまり注意していなかったけど、今の道徳でゴミの分別の大切さを教えられたような気がします。すっごくためになりました。
・プラスチックは、使い方によっては、便利な物にもなるし、最悪になったりもする。これからは使い方を考えよう。
・プラスチックは便利だけど、それとはうらはらに危険も隠されているんだなと初めて知った。今まで、プラスチックはなにげなく捨てていたけれど、これからは、いろんなことに使っていきたいと思います。

*環境 5時間分
 1時限 「環境-森林破壊から環境を考える-」①水と自然
 2時限 「環境-森林破壊から環境を考える-」②破壊される森林 
 3時限 「環境-森林破壊から環境を考える-」③ハンバーガーと森林破壊
 4時限 ゴミでできた部屋
 5時限 ゴミの中のプラスチック

☆まとめ
世の中の事象を原子分子から考えると、真実が見えやすいと考え、分子模型を使う授業、分子模型作りなどを取り入れて「総合的な学習の時間」を作れないか模索中である。

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