2026年10月11日 (日)

13「毛羽毛現」の授業分析 2021年中2

この資料は、中学校の第2学年で行われた道徳の授業の実践記録です。東京書籍の教科書にある教材や「毛羽毛現」をモチーフにした漫画を取り上げ、「みんなちがってみんないい」という言葉の本当の意味について深く考えています。生徒たちは、多様性を認め合うことの難しさや、自分の個性を大切にしながら他者を尊重する姿勢について議論しました。授業の最後には、自分らしさを持ちつつ人の役に立つことの価値について生徒各自が振り返りを行いました。異なる立場や意見を受け入れ、自主的に行動する大切さを育む内容となっています。

 
 
授業を受けた生徒たちの感想からは、主に以下のような大きな気づきや意識の変化が得られていることが分かります。
1. 「自分らしさ」と「主体的な意思」の重視
単に「みんなちがってみんないい」と違いを認めるにとどまらず、周囲のさまざまな意見を踏まえた上で**「最終的には自分の個性を大切にする」「単に人の意見で動くのではなく、自分の意見を持つ」**という主体的な考えに至っています。また、相互承認の理想だけでなく「現実にはうまくいかないこともあるため、できる範囲での自己改善も大切」という、現実を踏まえた捉え方も生まれています。
2. フィクションと現実社会の結びつきによる学び
漫画『毛羽毛現』の物語(病気の子どものために髪を提供しカツラになる展開)と、現実のヘアドネーションに関する新聞記事(実際に髪を寄付した男の子の話題)をあわせて学んだことで、**「このような話が現実にも本当にあるとは知らなかった」**という驚きや深い感銘を受けています。
3. 「人の役に立ちたい」という実践的な行動意欲
毛羽毛現や新聞記事に登場する人物の姿勢に心を打たれ、**「自分も人の役に立てるようなことをしたい」「色々なことに挑戦したい」**という前向きな意欲が高まっています。中には、過去にヘアドネーションに挑戦しようとして諦めた自身の体験を振り返り、改めて他者貢献について省察する生徒もみられます。
4. 登場人物への共感と受け入れの深化
授業の最後には、異質な存在である妖怪「毛羽毛現」を受け入れられるかという問いに対して、多くの生徒が受け入れる立場(青)を示しており、授業を通して多様な存在や他者の生き方に共感し、受け入れる姿勢が育まれたことが窺えます。

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本授業では、教科書教材の理想論から出発し、漫画や現実の新聞記事へと展開しながら、生徒に深い省察を促す発問や構成の工夫がなされています。
1. 導入:理想論への「揺さぶり」とテーマ設定
  • 教科書教材からのスタート: 東京書籍『新しい道徳2』の「遠足で学んだこと」を読み、「みんなちがってみんないい」や「十人十色」という相互理解・寛容の理念を確認します。
  • 課題意識の投げかけ: 教師から「現実世界では自分とすごく違っている人を嫌だなと思ったり、嫌ったりすることはありませんか」と投げかけることで、理想と現実のギャップに意識を向けさせ、「『みんなちがってみんないい』から後を考えよう」という本時のテーマを設定しています。
2. 展開(前半):漫画教材『毛羽毛現』と多角的な思考整理
  • 身近な悩みに引きつける発問: 自身の姿にコンプレックスを持ち周囲に合わせようと悩む妖怪「毛羽毛現」を通し、「他人から見てイヤな点を指摘されたら、なおす努力をしますか」(発問1)と問いかけ、生徒自身の問題として捉えさせています。
  • 比較・吟味を促す作業: 他の生徒の発表を聞いた後、良いと思った意見を「なるほど」欄に、少し違うと思った意見を「それは違うだろう」欄にワークシート等で整理させることで、他者の多様な視点を多角的に比較させています。
3. 展開(後半):フィクションから現実社会への接続
  • 行動理由と心情の深掘り: 毛羽毛現が自らを犠牲にして病気の子どものためのカツラになる展開に対し、「なぜ、このようなことをしたのでしょうか」(発問5)と問いかけ、他者貢献や自己決定の心情に迫ります。
  • リアルな事例(新聞記事)への転換: 「妖怪の話を人間に置き換えられるか」と促した上で、ヘアドネーションで髪を寄付した男の子の新聞記事を提示します。記事中の言葉「困っている人を助けたい」(発問6)を扱うことで、単なるフィクションの感想で終わらせず、現実社会での自分の生き方として捉え直させています。
4. 終末:意識変容の可視化と共有
  • 立場選択による変容の可視化: 授業の最後に、異質な存在である妖怪「毛羽毛現」を受け入れられるか(受け入れられない=赤、受け入れる=青)を示させます。全体として「青」の割合が増えたことを共有し、授業を通した寛容や共感の広がりを実感させて締めくくっています。

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